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通信用電線

架空送電線 地中送電線 架空配電線 地中配電線
架空送電線
架空送電線については、架空地線、架空送電線の技術動向を含めて、電気学会技術報告1379号「国内外の架空送電線及び電線付属品の技術動向」(2016年8月)の記載内容 [筆者も委員の一人として参加] を参照した。
架空送電線の主役ACSR
(中心に亜鉛メッキ鋼より線、外周に硬アルミより線)
我が国の電気事業は、アメリカのエディソン電気会社が電力供給を開始してわずか5年後の1887年(明治20年)に東京電燈会社が出力25kWの火力発電により210V 直流3線式で電燈への電力供給を開始したのが初めである。
架空送電線についてみれば、欧米については、アメリカが1923年に220kVの送電線を建設し、1936年には287kVの送電線が建設された。またスウェーデンでは380kV・約1000kmの送電線が完成し、1956年にはロシア(旧ソビエト連邦)で400kV送電線が建設された。
わが国でも1940年に220kV送電線が、また戦後の1952年には275kV・230kmの新北陸幹線が完成している。その後、経済の高度成長に合わせ、更なる高電圧化・長距離化が進んでおり現在は1000kV送電線も完成している(新潟群馬幹線111km、群馬栃木幹線109km等)。
その後は、経済成長の停滞があり、技術の主流は環境調和、効率化技術、信頼性向上、監視技術、省力化技術等の周辺技術に軸足が移っている。
架空送電線に用いられる電線は,国内外ともに鋼心アルミより線(ACSR:Aluminum Conductor Steel Reimforced)に代表される複合アルミ電線が主流である。(写真参照)

①架空送電線

架空送電線は、鉄塔と鉄塔の間を長径間に亘り架線するため、軽量であること、抗張力が大きいこと、大電流が流せること等が必要であり、主にACSRが使用される。導体抵抗等価で比較するとアルミは銅より軽量となるが、アルミは抗張力が低いため鋼心を用いて補強している。
鋼心アルミより線(ACSR)は、表に示すとおり、用途に応じて各種の改良版が実用されている。
なお、工場地帯等で煤煙の激しい場所では腐食防止の観点から硬銅より線も使用されている。
主な架空送電線の種類
電線の種類(略号) 構 造 ・ 用 途
鋼心アルミより線
(ACSR)(ACSR/AC)
国内・海外で最も一般的に使用されている。(写真参照)。
アルミ覆鋼心アルミより線(ACSR/AC)は亜鉛めっき鋼線の代りにアルミ覆鋼線を用いたもので,耐食性を向上させている。 
鋼心耐熱アルミ合金より線
(TACSR)(TACSR/AC)
耐熱性の高い耐熱アルミ合金線(TAL)を用いて高温で運用することで,大容量送電を可能としたものである。
アルミ覆鋼心耐熱アルミより線(TACSR/AC)は亜鉛メッキ鋼線の代わりにアルミ覆鋼線を用いたもので,耐食性を向上させている。 
鋼心イ号アルミ合金より線
(IACSR)(IACSR/AC)
HALより強度の高いイ号アルミ合金線(IAL)を使用してACSRより大きな引張強度が得られるようにしたものである。海峡横断等の長径間電線などに使われている。IACSR/ACは亜鉛メッキ鋼線の代わりにアルミ覆鋼線を用いたもので,耐食性を向上させている。
アルミ覆インバー心
超耐熱又は特別耐熱
アルミ合金より線
(ZTACIR)(XTACIR)
耐熱性の高い超耐熱(ZTAL)又は特別耐熱(XTAL)アルミ合金線を用い,鋼心に線膨張係数の小さいアルミ覆インバー線を用いることで,低弛度で大容量の送電を可能とするものである。主に既設送電線の増容量化のために用いられるが,弛度を小さくできることから,新設送電線においても鉄塔の高さを低く設計できるというメリットがある。
イ号アルミ合金より線
(AAAC)
強度の高いイ号アルミ合金線のみで構成した電線であり,国内ではあまり使用されていないが海外では広く使用されている。
硬銅より線
HDCC
硬銅より線を用いたものである。銅は煤煙等による腐食に強いので、工場地帯等で使用される。

②架空地線

架空送電線の上方には架空地線と呼ばれる線が架線されている。これは電力を送る本線ではなく、雷撃時に本線を保護する「避雷針」のようなものである。雷撃電流を速やかに大地に放電することで本線を「雷による溶断」から保護する。表に架空地線の種類を示す。
主な架空地線の種類
電線の種類(略号) 構 造 ・ 用 途
亜鉛メッキ鋼より線
(GS)
亜鉛メッキ鋼線をより合わせ、架空地線としたものであり、広く使用されている。
アルミ覆鋼より線
(AC)
アルミ覆鋼線をより合わせ、架空地線としたものであり、GSより耐食性が高く、GSとともに広く使用されている。 
光ファイバ複合架空地線
(OPGW)
架空地線の内部に光ファイバを挿入したもので、架空地線としては、アルミ覆鋼より線等各種のものが用いられる。また、光ファイバに対する側圧等を軽減するため各種構造上の工夫がなされている。
光ファイバ複合架空地線(OPGW)の構造例

ここで光ファイバ複合架空地線(OPGW)は、架空地線に情報通信機能を付加したものであり、写真に示す構造
(例)のものが使用されている。




③架空送電線の技術動向

2000年頃までは、経済の高度成長とともに、高電圧・大容量の架空送電線が数多く建設されたが、その後の経済成長鈍化に伴い、技術の軸足は環境調和、効率化技術、信頼性向上、監視技術、省力化技術等の周辺技術に移っている。
・環境調和
環境調和技術としては、電線を目立たなくする技術、電線から発生するコロナ音や風音等の騒音を低減する技術、また、野鳥対策として、送電線への衝突・接触対策などがある。
電線を目立たなくする技術としては、アルミ表面に暗色系の薄膜を設けた低明度電線、電線表面をサンドブラストして光を乱反射させた低反射電線などがある。
騒音対策としては、電線の表面の素線の一部を太径・異形にすることでコロナ音や風音を低減する技術がある。
野鳥対策としては、赤・黄のカラーリングや標識を電線に取り付ける方法が採用されている。

・効率化技術
効率化技術としてはさまざまな手法があり、送電損失低減、既存設備増容量等は効率化技術の一環と言える。
送電損失低減としては、圧縮導体の採用で、導体外径を増やさず、風圧も増やさずに送電損失を低減する方法がある。海外ではACSRに代えて、すべてをアルミ合金にする方法も採用されている。
既存設備増容量としては、導体温度の高温化、導体断面積の増加、導体数の増加(多導体方式の採用)等がある。
導体の使用温度高温化についてみれば、インバー電線、ギャップ電線、プレストレッチルース電線(PS電線)等がある。
インバー電線は、熱膨張の少ないインバー線を心線に用い、外周に特別耐熱アルミ合金線(XTAL)又は超耐熱アルミ合金線(ZTAL)を用いることで使用温度を向上させ、高温による弛度の増加はインバー線を使用することで抑え、鉄塔は既存の高さのものを流用できるようにしたものである。
ギャップ電線は、特強亜鉛メッキ鋼心と(超)耐熱アルミ合金を使用し、鋼心とアルミの間にギャップを設けたものである。ギャップには特殊耐熱グリスを充填する。この構造のため、鋼心とアルミ層は独立に動くことができ、弛度の抑制と既設鉄塔の流用が可能となる。
プレストレッチルース電線(PS電線)は、鋼心に張力を加えながらアルミ線を撚り合わせ、両端をその状態で固定したものである。アルミ線にタブツキを持たせルースにしたものである。高温時は鋼心のみが張力を分担するため、弛度の大きさは鋼心だけに依存し、弛度の抑制が可能となる。

・効率化技術
架空送電線は風、雪氷、雷等の影響を受ける。沿岸部においては電線の腐食も懸念される。
風に対しては、ギャロッピングと呼ばれる電線の大揺れを防止するため、ダブルトーショナルダンパを電線に取り付ける方法が広く採用されている。
着雪・着氷に対しては、電線に難着雪スパイラルと呼ばれるAC線(アルミ覆鋼線)を巻き付ける方法が広く採用されている。
雷に対しては、架空地線の外周素線を太径化して耐アーク特性を改良した耐雷架空地線がある。
導体の腐食対策としては、電線にグリスを充填する方法が採用されている。鋼線とアルミ線にフッ素樹脂をコーティングした耐食電線も開発されている。

・監視技術
送電システムの監視技術としては、国内では圧縮接続管などの温度監視、海外では弛度監視による電力潮流の調整等が報告されている。またOPGWを用いたFLシステム(Fault location system)で架空送電線の事故を監視する技術も実用化されている。

・省力化技術
送電線の高経年化に伴い既存設備の改修や点検が必要になってきているが、これらの改修や点検を省力化する技術が研究されている。点検については、保守点検に特化した飛行監視装置の開発や点検ロボットの開発が進められている。
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